サッカーの勝敗を決するものは…


サッカーの勝敗を決するものは…


面白い記事を見つけました。

元日本代表選手でファジアーノ岡山所属の岩政大樹さんが書いた記事です。


サッカーの勝敗を決するものは…

と言えば、

「ゴール」ですよね。

しかし、「ゴール」だけに注目するのではなく、あることに眼を向けると違う世界が見えてくると岩政大樹さん(ファジアーノ岡山所属)は仰っています。

岩政大樹さんのポジションはDFです。

この記事を読んで、面白いと思ったと同時に、この考え方はMFかDFの選手のものではないかなとも思いました。

私は中・高校時代はサッカー部で、ポジションはDFでリベロでした。

現代サッカーにリベロは存在しませんね。

なので、岩政大樹さんの考え方に共感しますね。




岩政大樹さんの書いた記事全文を掲載するので読んでみて下さい。面白いですよ。


『ゴールに目を奪われていては、サッカーは見えてこない』

BEST TIMES 5月11日(水)15時30分配信


サッカーの勝敗を決するもの、それは「ゴール」だ。では「ゴール」に必要なものはなんなのか。戦術か、技術か、フォーメーションか……。どれも大事な要素であるが、岩政大樹は可視化されない“あるもの”の重要性を指摘する。


・外からの視点で見落としがちな内面性

 サッカーの試合を振り返るときには、ゴールのシーンが真っ先に思い浮かびます。サッカーにおける一点の重みはどんな時も大きく、ゴールはまさにその試合を決定づけるハイライトと言えるでしょう。

一方で、僕たちは90分間の試合をしています。得点の確率を1%でも上げ、失点の確率を1%でも下げるために、90分間戦っています。その確率は、試合に相手が存在する限り、決して0%になることはありません。ゴールとは、90分間のあらゆる努力の結果に過ぎず、ゴールが生まれたシーンだけで、「あれが良かった」、「これが悪かった」と振り返っていては、その試合を正確に捉える事ができません。

 特に、外からサッカーの試合を見ていると、(実際、僕もそうなってしまうのですが)つい戦術やシステム、または個々のプレーなどにばかりに目が行き、「人がプレーしている」という当たり前のことを忘れ、人の内面の部分を置いてきぼりにしてしまいます。しかし、サッカーゲームではない僕たちの試合には、戦術や理論だけではない、感情や心理というものが含まれています。

 先日、自分の中で会心の試合がありました。それは3月に行われたJ2リーグ第2節、ジェフ千葉戦。ジェフは、今シーズン大量に選手を入れ替え、継続でチームを作っている僕たちファジアーノ岡山とは、別のアプローチで今シーズンを迎えていました。まだ2節だったので即席のようなチームかと思いきや、開幕前のプレシーズンマッチで鹿島アントラーズを下すなど、その試合まで練習試合を含め無敗をキープしていました。

 試合前、僕はロッカールームでいつものようにその日起こることを想像していました。僕のいつものルーティーンです。

 ジェフは相当な自信を持って乗り込んでくる。勝つことでまとまりも生まれているだろう。僕たちも昨年からの積み重ねに自信があり、充分対抗できる戦力を有していますが、開幕戦で引き分けていたので、勢いという面では少し分が悪いと思っていました。

 そこで、一つの想定として、もし前半の半ばを過ぎたあたりで相手がボールを保持する時間が長くなるようなら、少し相手を受ける時間を作ろうと考えました。そして、もし持ちこたえることができるとふんだ場合には、それをあえて、ハーフタイムまでは修正せずに後半を迎えようと思いました。
相手に「このままいける」と思わせたい

 というのも僕は、ジェフの選手の心理面を利用してみようと考えたのです。 
 負けたことのないチームは負けることはあまり想像できません。ましてや、新加入選手の多いチーム状況では、その勢いのまま押し切ろうと考えるのが普通です。ハーフタイムに入る前に流れを引き戻して相手に警戒させて前半を終えるのではなく、相手がハーフタイムに「このままいけるぞ」と声を掛け合うような雰囲気で後半を迎えさせることで、相手に隙が生まれるのではないかと考えていました。

 試合にはいつも通り、フラットに入りました。僕はいつも、どう相手に対応していくかの最終的な判断は試合に入って考えるようにしています。できるだけ先入観なく、相手の狙いやその日の調子、味方の意見や表情なども含めて、10分から15分くらいで最初の見極めをします。
 データやその日の想定を頭に入れて挑むようにはしていますが、それも最終的な判断を下す時の材料を持っておくためで、ピッチで起こることをできるだけ正確に“感じる“ために、何かを決めつけて見ることのないように気をつけています。

 その試合の最初の感触としては、やはり充分僕たちは対抗できると感じました。そして予想通り、相手には自信と勢いがあり、前半の半ばを過ぎると、少し相手にボールを持たれる場面が増えてきました。

 そこで、僕は試合前にあらかじめ想定していた戦い方を選択しました。
 ハーフタイムを迎えるまでの時間に相手はビッグチャンスもありましたし、一つの賭けではありましたが、なんとなくジェフの選手たちに「このままでいけそうだ」と思っているような雰囲気を感じた僕は、このまま前半を乗り切ればこっちのものだと思っていました。

 (相手に隙が生まれたかは分かりませんが)結果はそのプラン通り、後半の一気の2ゴールでジェフに黒星をつけることができました。ジェフの選手たちは、自信を持って後半に挑んできた分、僕たちの先取点に必要以上に動揺したように見えました。


・内面を嗅ぎ取れるようになれば違うサッカーが見えてくる

 ここで言いたいのは自慢ではありません。毎試合、同じようなことを考え、挑んでいますが、勝つ時もあれば負ける時もあります。その試合もたまたま僕たちが勝ったに過ぎません。ただ、サッカーというスポーツがいかに人の心理の部分に大きく左右されるか、そして90分の戦いがいかにゴールのシーンだけで語れないかを知ってほしいと思います。

 また、ジェフの選手に落ち度があったという話でもありません。連勝を重ねているチームや調子のいいチームは大体同じような傾向にあり、戦い方を変えたりするよりもそのままの勢いで90分間挑むことがほとんどです。だから、いつも対策という面では、調子の悪いチームよりも、調子のいいチームとの対戦の方が意外と想定しやすいものです。

 この試合をビデオで見返してみると、ただ単に、「前半はジェフのペース。そこで点を取れなかったことでファジアーノが後半にリズムを掴んで、一気に2ゴールで勝利」と見えてしまいます。ゴールで試合を語れば、それがその試合の大方の見方でしょう。

 しかし、ジェフにボールを敢えて握らせた、と考えると別の見え方が見えてきます。
 つまり、ボールを保持しているかどうか、ラインが高く設定されているかどうか、押し込んでいる方はどちらか、という外からの視点だけではなく、その試合までのチームの調子や心理、そして90分という時間の中でのゲームプランニングといった、内側の視点まで想像してみると、同じ試合を見ても違う景色が見えてくるのです。

 この試合、ジェフは終始、勢いに乗っていたはずです。「それまでの試合のように勝てる」と思っていたでしょう。それに対し、僕たちはあえて、向かっていくのではなく、受けた。そして、受けたままだと思わせた上で、攻勢に転じました。修正する間のない後半まで相手に勢いをキープさせることで、勝機を見出したわけです。試合前の想像が綺麗にはまった稀有な例で、その意味で、会心の試合と表現したのです。

 サッカーの魅力にゴールが真っ先に挙げられるのは間違いありません。あのゴール前の緊迫した空気、ゴールが決まった時の熱狂、興奮はサッカーの醍醐味です。
 しかし、僕たち選手はあくまで、90分の戦いをしています。一つの試合をゴールだけで語ることはできません。
 90分の中には、戦術的にも技術的にも、そして心理的にも様々な駆け引きが存在します。それも全て、90分の中で相手よりも多くのゴールを取るためではありますが、そうしたゴールの確率を少しでも上げる90分を通した戦いにも、サッカーの面白さが詰まっていると思います。

文・岩政大樹










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